薬剤師は将来飽和してしまうの?現役薬剤師が将来性について考える

「薬剤師が飽和するって本当?」

「薬剤師の仕事は、人工知能(AI)」に奪われるって本当?」

薬剤師をしていると、年下薬剤師からこんな悩みの種を頂いたり、薬学部の学生からも質問を頂いたりします。

 

飽和になると言われ続けた薬剤師ですが実際は10年以上経過しております。

結論から申しますと、薬剤師はまだ飽和することはないと考えております。

 

私も現役の薬剤師として働いており、調剤薬局で働いていたときはいつも薬剤師の求人を募集しておりました。ピーク時になると残業は当たり前で帰宅ができない日々も続いておりました。

そんな経験をしているため、現在でもまだまだ薬剤師が飽和になるといった危機感は感じません。

 

この記事では、現役薬剤師が『薬剤師は飽和してしまうのか?』という悩みに対して、薬剤師視点から自分の考えをまとめました。

今後の薬剤師の将来性に不安を感じている人は、是非現場の生の声と考えをお伝えできればなと思います。

薬剤師は飽和してしまうのかを現状分析

近年少子高齢化の影響で定員割れしている大学や私立高校などがあります。今までは、子供の数が多く学校を作れば作るほど受け入れることができておりました。

今では私立の学校は経営困難に陥り潰れてしまったりと少子高齢化に伴いどんどん学校は廃校となっております。

 

しかし、大学の薬学部は今でも新しく新設され続けております。増設され続ければ飽和するのではないかと思うでしょうが、合格基準を変更することで薬剤師の数を調整することができるためこのように今でも増設され続けていると言えるでしょう。

薬剤師の国家試験合格率

引用元:厚生労働省

令和2年に行われた薬剤師の国家試験に対する合格率も、国立大学ですら50%以下を下回る大学もあります。

以前は、「得点率65%以上」とされていた基準が「相対評価」による基準変更が行われたためより試験合格も難しくなっております。

そのため薬剤師の人数が増えて飽和するということは、あまり現実では考えられないです。

 

さらに、厚生労働省が開催している『薬剤師受給の将来動向に関する検討会』を参考にすると薬剤師が飽和しないことが見えてきます。

薬事関係業態数の推移

引用元:厚生労働省 薬剤師受給の将来動向に耐留守検討会

まず昭和から平成にかけて薬剤師の人数は大幅に増えております。

ただ上記の資料を見れば平成10年が最も多く、それ以降は人数が減少していることがわかるでしょう。

さらに下記はグラフで表したものです。

 

薬剤師の人数

引用元:厚生労働省 薬剤師受給の将来動向に耐留守検討会

こちらを見ても同じように、昭和から平成初期にかけて薬剤師の数は増えております。

しかし平成10年を境に停滞していることがわかるでしょう。

 

これらの資料から薬剤師がこれから飽和に向かっていくということは読み取れませんでした。

ただし人工知能やAIによって、仕事が奪われてしまう可能性もなきにしもあらずです。

現役薬剤師は一体どう思っているでしょうか。

薬剤師が将来飽和しないと考える理由

薬剤師はこれから飽和していくと思いますか?

世の中の流れでは、薬剤師は飽和していくと言われ続けておりますが実際のところはどうなのでしょうか?

薬剤師の有効求人倍率は、徐々に下降傾向にあり就職をするのに困難な職種になりつつあります。

薬剤師人数 有効求人倍率
平成26年 288,151 7.00
平成28年 301,323 6.25
平成30年 311,289 4.59
令和2年 未発表 3.61

参照:厚生労働省 一般職業紹介状況

このように厚生労働省の発表では、薬剤師の有効求人倍率が下降していると発表されております。

現役薬剤師として同僚や薬学部時代の友人に聞いてみたところ、「全員が飽和しない」という回答に至りました。

実際に働いている現場の声こそが、飽和するかを考えるときの題材になると思い調査しました。

 

今でも現役の薬剤師として働いておりますが、常に調剤薬局やドラッグストアは薬剤師の募集をかけております。特に田舎や地方に行けば行くほど顕著で、なかなか薬剤師が見つからないから都内よりも給与が高く設定されている薬局も多いです。

薬剤師が飽和するときは、調剤薬局やドラッグストアの給与面を見れば一目瞭然です。今の段階では、薬局の給与の低下は見られませんので飽和自体はさほど考えなくても良いのではと思います。

 

では、厚生労働省の発表と現場の薬剤師の声とで乖離があるのは何故でしょうか?

現役の薬剤師目線で考えられる理由は3つあります。

薬剤師は女性が多い職種である

薬剤師という職業は、全体の60%が女性であり女性が多い職種となっております。

近年男性の薬剤師も増えてきていますが、まだまだ女性の方が多く男女比率は変わっておりません。

 

女性が多い職場ということは、結婚や出産などで退職する方も多いということになります。

もちろん退職した後に、薬剤師として再度復職する方もいらっしゃいます。しかし、育児と共に専業主婦としての道を選ぶ方もいればパートとして日中のみ働く方もいるなど全員が薬剤師として戻ってくることはありません。

 

私の薬剤師の友人を見ていると、薬剤師は年収の高い方と結婚する方が多く現場に復帰してくる友人は少ないです。

女性が多い薬剤師という職業は、退職をした場合必ずしも全員復職しないため飽和せずに新規の薬剤師を囲える環境ができているのでしょう。

調剤薬局以外の仕事をしている

薬剤師と聞くと、調剤薬局などの街の薬局屋さんで働いていると思っている人も多いでしょう。

実は、薬剤師は調剤薬局だけでな製薬会社やSMO、CRO、医薬品会社など多岐にわたる就職先があります。

そのため、製薬会社などの市場規模が増えれば四円と薬剤師の求人数も増えることになります。調剤薬局だけでしか働けないと、薬局の数しか就労者はいないので飽和の可能性があります。しかし、薬剤師は調剤薬局以外の就職先があるため飽和していないということが現状と考えます。

地域により薬剤師の職務者の数に差が出ている

薬剤師は地域によって従事する数に大きな差があります。

人口密度の多い都内などは、薬剤師数が多く飽和の可能性を感じるでしょうが、まだまだ地域別で見たら需要が高く供給が間に合っていない地域もあります。

薬剤師が全国各地の需要にまだまだ対応できていないことが下記の表から分かるでしょう。

人工10万人における薬剤師の数

引用:厚生労働省 都道府県別にみた人口10万対薬剤師数

地域の差がまだ埋められておらず薬剤師の供給が間に合っていないため、まだ飽和すると決めつけるのは早いのではないかと考えます。

職業別薬剤師の将来性について

薬剤師は薬局だけでなく多岐にわたる職種があり、様々な場所で働くことができるのもメリットです。

調剤薬局だけでなく、製薬会社やドラッグストアなど選択肢が多いため飽和せずに需要と供給がマッチしているといっても過言ではありません。

そこで今回は、薬剤師の職業による将来性について現役薬剤師の視点から見ていきます。

調剤薬局の薬剤師の将来性

調剤薬局の店舗数は、近年減少傾向にあります。しかしながら、薬剤師の調剤薬局で働く人数は上昇傾向にあるため調剤薬局の場合は薬剤師の人数が多すぎている傾向になります。

平成26年 平成28年 平成30年
調剤薬局の薬剤師 161,198 172,142 180,415

参照:厚生労働省 一般職業紹介状況

最近は、『テクニシャン制度』と呼ばれる制度が導入されたため薬剤師の補助をする人が増えてきております。

そのためさらに薬剤師の求人が調剤薬局では減少傾向にあります。テクニシャン制度が導入されることにより、薬剤師の仕事負担が減って給与が下がるとも言われております。

調剤薬局の薬剤師として長く働きたいのであれば、早い段階でワークライフバランスの取れる職場を探すことがポイントとなります。

ドラッグストアで働く薬剤師の将来性

令和に入ってから、インバウンドの影響でドラッグストアが軒並み乱立している状態が続いております。

ドラッグストアで業界では、薬剤師の需要はまだまだ高く現在でも人が足りていない状態のため給与は高く人気の職業になります。

ドラッグストアは調剤薬局と違い、日用品や雑貨なども販売しているため診療報酬に頼る必要もなく安定して働くことができます。まだまだドラッグストア市場は大きいため、将来性に不安を持っている薬剤師はドラッグストアを選ぶと良いでしょう。

薬剤師はまだ飽和するとは考えられない

飽和すると言われ続けた薬剤師ですが、現状まだ薬剤師が飽和するような危機的状況ではありません。

大学の薬学部が増え続けることにより、新規の薬剤師がどんどん市場へと流れてきます。しかし、その分団塊の世代も多く現役の薬剤師を引退していくため市場への影響はそこまで与えられないと思います。

さらに高齢者がどんどん増えることにより、医療を受けたいという人が多くなるため薬剤師のニーズはまだまだあるでしょう。

 

飽和しないからといって薬剤師としての学びを捨てることは辞めましょう。薬剤師としての日々の成長や学びを行なっておくことで、薬剤師が飽和したときに価値ある人材になっておく必要があるからです。

今までは『給与が高く安定している』といった理由で、薬剤師になった方もいるでしょう。いつどうなるか分からない時代に生まれてきたからこそ、常に備えて「市場から求められる薬剤師」になっておく必要があります。

 

そのためには、残業が多くなくワークライフバランスの良い職場環境で働くことをお勧めします。

激務のところで働いても、自分のための学びは一切できません。ストレスのない職場環境で薬剤師を楽しいと思える職場環境こそあなたの市場価値を高める薬剤師になることができます。

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